【沈黙からの安堵のため息からの笑顔】

『にんぎょうげきのおみせやさん』の幼稚園公演より

忘れんぼのひよこのドタバタおつかい物語
『なんだっけ?ぴよのすけ』上演中のこと。

ぴよのすけは、人参とかぼちゃと玉ねぎのおつかいを頼まれました。でも、いざ八百屋さんに着くと何を頼まれたかすっかり忘れてしまって「まっ、いっかー」と自分が大好きなじゃがいもを買って帰ります。

家に帰って「おつかいできたー」とお母さんに報告するぴよのすけ。ぴよのすけが出したのは、もちろんじゃがいも!!
「あとは?」と聞くお母さん。
ぴよのすけは、「がじゃいも」と得意顔。

「じゃがいもこれだけ・・・?」と、沈黙するお母さん。

さっきまで、笑い声や拍手やぴよのすけを応援する声が響いていた客席もシーン。
園児さんの間に何とも言えない空気が漂います。
お母さんの反応を息をのんで見守る園児たち。
と、お母さんは、一瞬の沈黙のあと笑顔で一言「よくできましたー」。

そのとたん、客席から安堵のため息。会場の緊張がふわっとほどけました。園児さんたちは、最初の心配顔から一瞬驚いた顔になって、そして安堵の表情、最後は笑顔に。

みんな、最初は、ぴよのすけがお母さんに叱られると思って、心配になっちゃったんだって。

子どもたちの集中力とよく動く心、素直な豊かな反応に魅せられました。

終演後、嬉しい感想と一緒に「来年もお呼びしたいのでいっぱいビール飲みます」と、先生とPTA会長さん。
この幼稚園さん、予算がない中、みんなで知恵をしぼって
ビールを飲んで、もとい、アルミ缶回収とかとかがんばって
お金を集めてお呼びくださったんです。

こうした思いにしっかりこたえられる劇団でありたい、あらなければとあらためて。